舞台は東京都
前回に引き続き『太田和彦の日本百名居酒屋』レビューです。
今回の舞台は東京都の居酒屋。
東京都と言っても日本列島の南海上の島である八丈島の『梁山泊』、そして都心部に戻ってきて銀座の『こびき』となかなかダイナミックな名店はしごをしています。
距離にして約300km。これだけ離れていると、居酒屋で提供される料理はひと味もふた味も違ってくることでしょう。楽しみですね。
第33話 東京都は広い!銀座から離島まで
梁山泊
一軒目は八丈島八丈町にある『梁山泊』。
お店のホームページが文字化けしてしまっているので、八丈島の観光協会のページを貼り付けている。
最初の一杯は情け嶋のお湯割り
初めて聞く名前の焼酎だ。
というか、太田さんが焼酎を飲むのを初めて見る。
太田さん曰く、八丈島の焼酎はドライな味が特徴だが、情け嶋は九州の焼酎に似たコクがあるとのこと。
僕はここ数年でようやく焼酎に手を出し始めたクチであるが、まだまだビギナーなので有名どころしか飲んだことは無い。徐々に裾野を広げたいと考えているんだけどね。
手始めに地魚盛り合わせ
オナガダイ、鮪、カンパチ。焼酎と刺身、実にいいね。
個人的に感じることだが、焼酎は癖が少なく、料理の味を邪魔しないため、素材の味を直に味わう刺身類によく合う。
八丈島では薬味として山葵の他に青唐辛子を使うと聞いたことがあるが、梁山泊では山葵に青唐辛子を横に半分に切ったものが埋め込まれている。
青唐辛子を擦りつけて食べる。辛いけれど風味が立つのであろう。想像しただけで涎が出る。
香ばしい岩のり焼きもどうぞ
同時に供されるは、『岩のり焼き』。
かるーく炙って醤油とマヨネーズで食す。海苔は火を通すと鮮やかな緑色になるんだよね。
焼いた海苔の香りは堪らない。日本に生まれてよかったと感じる瞬間だ。
二杯目は武骨な『島の華』
また知らない焼酎だ。
太田さんが八丈島の名産であるくさやを注文した際にご主人が勧めた焼酎である。
飲み口は武骨。くさやに負けないくらいガツンとくる焼酎だそうだ。
島の名物くさや
八丈島に来たらこれを食べなくちゃ。僕の中の八丈島のイメージは、くさやと明日葉である。
塩が貴重だった時代に、塩水を使いまわしていたら上手い具合に魚の成分が蓄積し、そこに微生物が作用してくさや汁が偶然できたのが始まりだったと聞く。
明日葉とくさやチーズ
やっぱり来るよね、明日葉ビール。合わせるは、くさやチーズ。なにそれ、臭そう(直球)。
尺の都合上、料理提供まで観ることができなかったが、味は間違いないだろう。
こびき
舞台は都心、中央区銀座の『こびき』。
綺麗なホームページだ。内容は基本的にぐるなびにリンクが貼られている構造。
まずはお燗、宗玄純粋無垢
お、宗玄は飲んだことがあるぞ。
香りは上品で主張しすぎない、いい塩梅。優しいふんわりとした味わいだけれどキレがよく、スッと引いていく。
僕が飲んだ時は冷やだったけれど、燗にすることで華やかな香りが程よく持続して燗映えするだろうと思う。
お通しは風呂吹き大根(自家製鶏味噌)
主役の大根に掛かった鶏味噌は見るからに照り照りで美味しそうだ。大根の横に添えられるのは菜の花だ。
菜の花の元気な緑色が食欲を刺激する。また、大根の上に載ったゆずの黄色も眩しい。
お通しだけでもわかる実力。お酒が飲みたくなりますな。
冬の刺身の王様、寒ブリ
脂の乗り切った鰤の旨いことよ。舌と上あごに挟んだ鰤がじわっと脂を滲み出して溶けていく。
これを熱燗でキュッと・・・。もう何もいらない。
太田さんは山葵の美味しさにも興味津々。そうなんだよね、美味しい山葵はそれだけで酒が飲める。
二本目は鶴齢
鶴齢もいい日本酒だ。太田さんが飲まれている無濾過生原酒は飲んだことはないが、下に載せた生酒は甘みの中にキレと力強さを感じさせる猛々しい味わいだった。
焼き白子
冬の時期の白子とあん肝は外せない。
カリッとしていて、トロッとしている。個人的にはトロッとホコッの間くらいの食感が好みだ。
総括
相変わらず観ていて呑みたくなる素晴らしい居酒屋巡りであった。
焼酎の幅を広げたいと考えいたので、今回の八丈島訪問は参考になる。積極的に飲んだことのない銘柄に手を出して、色々な違いを学んでいきたいものだ。